バースデー・イブ
結果を聞かせてと言った久保さんの声が脳裏によみがえる。なぜか連絡をしないとと思い前に貰った名刺をケースから取り出す。私用でない電話にかけてもいいか悩んだが、連絡先を交換しそびれたため名刺に書かれている電話番号に電話する。
『はい。久保です』
3コール目で
「あの……あ、あたし……タイムス経理課の中野です……お世話になります」
『お世話になります…って、ちーちゃんお疲れさま。ビジネスライクでどうしたの?』
「つい、クセで……職業病?なんかごめん…仕事用の電話に連絡して」
『あ、連絡の交換忘れていたっけね。これ、私用電話?』
「うん。私用…」
『じゃ、登録しとくからまた私用電話から連絡するよ』
「ちゃんと言ったよ。できないし、もう、連絡しないでって言った……ありがとう、背中を押してくれて」
『ちーちゃん今どこ?』
駅ナカにいることを伝えると、今すぐ行くからロータリーで20分ほど待っていてと言い電話を切られる。
駅前のロータリーで待っていると
『着いたよ。タクシー乗り場近くに停まってる黒いハリアーだから』
「わかった……あ、いた」
ハリアーを見つけると、車の前で立つ久保さんの姿が見える。あたしに気付いた久保さんは軽く手を振り
「乗って」
そう言いドアを開け
「ちーちゃん、気晴らしにバッセン行こう」