ご近所さん的恋事情
「渉くんは、まだ飲む?」


「あ、ああ。うん…もう1杯ください」


「ハハッ!どうした?瑠璃子ちゃんに見とれてた?」


店長は歯切れの悪い返事をした渉をからかうように笑う。


「え?私?」


自分の名前が出た瑠璃子は口に入っていた残りのキャベツをビールで流し込んで、渉の方を向く。


「いや…別に何でも…」


渉は焦ると同時に頬を赤くした。


「ハハッ!珍しいね!渉くんのそんな顔は」


瑠璃子はまだ渉に会って、一時間くらいしか経っていないが、さっきまで余裕のあった顔と違う顔をする渉を見て、なんだかかわいいというか微笑ましい気分になった。

大人の男が思わぬことから見せるかわいい顔は母性本能をくすぐる。

「かわいい」なんて言ったら、渉は間違いなく怒るだろう。


「瑠璃子さん…何か言いたそうだよね?なに?」


少し不機嫌な顔を見せる。頬の赤身が治まっていく。


「かわいいなと思って…」


それは禁句なのに。
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