ご近所さん的恋事情
それから、3年…ざっと20人の人とお見合いをした。しかし、どの人も1、2回会っただけで、瑠璃子は「合わないから」と断った。


本当にどの人も合わなかった。それに、ときめかなかった。

「見合い相手にときめきなんて、求めちゃダメだよ。打算で考えないと」

長年の親友である知美に言われた。

でも、ときめかない人と結婚なんて出来ない。瑠璃子はときめかないお見合いを続ける無駄を母親に説いて、終止符を打ってもらった。



「入らないならどいてくれる?」


「あ、ごめんなさい」


目の前まで来たものの、赤い暖簾ををくぐることが出来なくて、佇んでいた。
後ろから低い声で退けと言われて、瑠璃子は慌てで横にずれる。

1人で焼き鳥屋に入ったことがない…でも、食べたい。どうしよう…

瑠璃子は、女1人で入るのに躊躇っていたのだ。友達と一緒なら女だけでも大丈夫なのだが、1人なのが躊躇してしまう理由だ。


「どうぞ」


「え?」


「あはは、食べたいんでしょ?お腹鳴ってるよ。ほら、早く」


「え?お腹?うそ…」
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