ご近所さん的恋事情
曖昧な言い回しに悩んでいる暇はない。早く話なんて終わらせて、この場から動きたいから、瑠璃子に聞く。


「え?あの、私の大事な人です」


他に言える答えはなかった。だけど、男がそれで納得するはずがない。


「瑠璃子ちゃんの弟?」


似てはいないけど、それほど親密の関係には見えないから、一番無難ともいえる判断を下す。

渉は「弟」と言われたことに軽くショックを受けていた。頼りない年下に見えてしまうのだろうか?

家では頼れるお兄ちゃんとして家族から尊重されている。でも、瑠璃子から見たら、頼りない年下男になってしまうのだろうか?ショックを受けたことで、言い返すタイミングが遅れた。

男がニヤリと笑う。渉を更に追い込もうとする。


「瑠璃子ちゃんは俺に任せて…」


「違う!弟じゃない。渉は私の大切な婚約者なの」


こんな男の思い通りになんてさせない。渉を傷付けることも許さない。大切だと言ってしまうと本当に渉が大切な人に思えてきた。
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