ご近所さん的恋事情
「瑠璃子さん、やっぱりかわいい」


渉の右手は頬から顎へと移動する。


「ん!ん…」


かわいくなんてない…と言おうとほんの少し動いた口を渉が塞いだ。

好きだと意識した相手からのキスは瑠璃子の心をぎゅーっと締め付ける。

胸が苦しい。息も苦しい。


「はあ…あん」


息が苦しいのは口を塞がれていたからだ。新鮮な空気を求めて、何とかずらした時、唇が離れた。しかし、渉はその離した唇を瑠璃子の首筋に持っていく。

新鮮な空気に触れてホッとしたのはつかの間で、首筋を舐められて、思わず人に聞かれるには恥ずかしい声が出てしまう。

しかも、ここはマンション前の道端だ。こんなところでラブラブしていたら、誰に見られるか分からない。見せ物になるつもりはない。


「うちに、来る?」


こんなふうに自分から誘ったのは33年生きてきて初めてのことで、まだまだ大人になってもしたことのないことがあるな…そんなことを瑠璃子は思った。
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