【短編】甘い香り-修学旅行-
「…亮太?」

抱きしめたられながら吐き出した言葉が、亮太の腕の中にこもる。

「俺、すげぇ怖かった。」

亮太はあたしの肩に顔をうずくめて言った。

泣いているのか、声が震えている。

「…亮太、もう大丈夫だよ」

一度体を離そうとしたが、亮太はそれを許さなかった。

「悠季…愛してる」
「…うん」

「悠季が愛してくれんだったら、他は何にもいらねぇ」

「…うん」

「…俺は、そんな立派な男じゃねぇんだよ」

亮太は、抱きしめる手を強めた。

「お前がいてくれれば…それで良いんだよ」

「…うん」

「…もぉ、悠季以外の女に愛されたくねぇ」

自分を想って死なれるのが、よっぽど怖かったのか、亮太の震えは止まらない。

「亮太、大丈夫だよ。あたしは、どこも行かない。亮太が誰かに想われても、絶対誰にも渡さない。あたしは、亮太を愛してる。」

亮太の大きい背中に腕を回し、亮太の震えが止まるようにと抱きしめた。
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