狂犬の手懐け方

「……なら、今日放課後時間ある?」

俺は尋ねた。

「家の手伝い」

訝しげに、さも当然のように答える。
確かに犬塚が家の手伝いをするのはいつものことだ。
放課後も遊ぶことなく、いつも働いている。

「だよね」

デートでもすればそれっぽく見えるんじゃないかと思ったんだけど。

それはまたの機会でいいか。

「まぁ焦らなくていいから。今のままで十分」

俺の返答に犬塚は満足していなさそうな表情で頷いた。

俺はただ犬塚といたい。
それが本心だから、本当に焦らなくていい。

千里の道も一歩から。

叶うなら…もう少し暴力を控えてくれるところから始めたい。

< 68 / 97 >

この作品をシェア

pagetop