如何にして、コレに至るか

ーー

雪の日だからか、いつにも増してお客さんが少なかった。

いつも来る喫茶店。コーヒーの味なんて、美味しい物は美味しい程度の認識しかない私にとって、ここが馴染みとなるのは、単に私が通う大学近くにあったからだった。


ならば、他の学生もごった返しそうなものだけど、うちの大学にはカフェテラスがあるため、そちらに流れていく人が多い。

ここにいるのは大概、そんな喧騒が嫌いな人だ。程よく広い店内に、レトロな内装、子守歌よりも静かなBGM。椅子がやけに高いカウンター席に、テーブル席は固めのソファー。お一人様でもテーブル席を使う私は、いつも店内の隅にいるのだけど、今日は入り口から近い席に座っていた。

店内に入った彼が、一目で私に気付くように。

外は雪。道路にも積もり始めたものだから、車で来てくれる彼の心配をしてしまう。

互いの休日が合った。会うのは当然。
待ち合わせ時間よりも早くに来てしまうほど、楽しみだったデート。

彼が来てから注文しようと思ったけど、雪が酷くなる前に来てしまった待ち合わせ30分前。それまで机の上に何もないのは、店員さんの視線が痛いため、コーヒーを一つ先に頼んでしまった。

それももう、あらかた飲んでしまったけど。

スマホをいじりながら、彼を待つ。ラインで、『雪酷いですけど、運転大丈夫ですか?』と送れば、『大丈夫』との簡素な返事が来た。

安全運転で来てほしいと思う一方で、早く来ないかなとそわそわする思いもある。

人間観察とふざけた暇つぶしを始めるも、今日は人がいないに等しい。片手で数えきれるほどだ。みんなして、ノートを開いて勉強している。

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