罰ゲームでヤンキー君に告白されました。


その日から何度か、私の教室の階で龍也君の姿を見かけた。



ただし今までの堂々とした態度とは違っていた。
話しかけたそうな顔をしているけれど、目があうとさっとどこかにいなくなってしまう。



う、うーん、なんだろうあれ。


一度や二度じゃないから、気のせいでもないと思うし。
近くに先生やえみがいるから遠慮してるのかな。



私はそんな龍也君のことを見て、何かを連想した。
あの態度って、まるで。


「……警戒してる野生動物みたい。
北海道に旅行に行った時、あんなキツネいたなぁ。
えさをあげるとよってくるんだけど、ちょっと近づくとすぐに逃げちゃうんだよね」


それを聞いたえみは大きな溜め息をついた。


「あんた、ひそかに大神のことバカにしてるでしょ」

「してないよ?」

「野生のキツネはエキノコックス症もってるから近づいちゃだめだよ」


「そっか」


そう言った後、さらに怖い顔でこちらに詰め寄る。


「野生の大神はさらに悪質だから、絶対近寄らないこと!」

「あはは……」


私は苦笑いするしか出来なかった。
えみは腕を組み、ふんと鼻息を荒くはいた。


「何よ、こそこそしちゃって」

「えみが怖いんじゃないの?」


「私はそんなに怖くありません!」

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