もしも私がーcasket in cremtion。

瓦礫を上手く避けながら、ようやくエリックに初めて会った部屋まで来た。

「ねえ、私、海くん連れて来る。」

 私が呟くように、しかし意思ははっきりと伝えると、みんなは困った顔をした。

「気持ちは分るが、今は――」

「その必要はいらへんよ。」

永璃が言いかけると、制止する声が聞こえた。
声がした方向を見ると、菊之ちゃんが海くんをお姫様抱っこして立っていた。

「はよせえよ。潰されんで!」

そうせかして走り出した。
私達は顔を見合わせると、とりあえず通って来た穴を目指して走った。

私達の前には菊之ちゃんが走っていた。
開けておいたままの穴が見えると、菊之ちゃんは一目散に穴に飛び降りた。
私達は穴の前に立ち止まって、再び顔を見合わせた。

「罠あったりして」

靭が気まずさもなく言ってのけると、私も思わず頷く。
そんな私達に、エリックがにこやかに言った。

「大丈夫だと思いますけど」

エリックの言葉を聞いて、靭と顔を見合わせると、幟呉が淡々とした口調でせかした。

「おい、討論している暇(いとま)は無いぞ。」

幟呉が見つめている方向を見ると、私達が来た方向から火が迫って来ていた。

(いつの間に火が!?)

 火を見てパニックになりそうだった私が何かを叫ぼうとした時、背中に衝撃が走った。
 次の瞬間には、穴の中の地面に顔をぶつけていた。

「おい!だから何でお前はそうなんだ!」

「大丈夫圭子ちゃん?」

 穴の外から永璃の怒声と、私を心配する靭の声が響いて、幟呉が振ってきた。
 私がつっぷしたまま、慌てて避けると、幟呉は私を一瞥して鼻で笑って、穴の中の闇に消えていった。

(幟呉ぇ!)

 今の顔で全部理解した。私、また幟呉に蹴り落とされたんだ!

(あいつ!今に見てろよ!!)

 私が幟呉への復讐に燃えていると、靭と永璃が振ってきた。
 
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