もしも私がーcasket in cremtion。
*****
暗闇を抜けると、上に開いた穴から淡い光が差し込んでいた。そこに菊之ちゃんが穴を見つめ、立っていた。
「どうしたの?」
私がオズオズと聞くと
「私だけやったら上れんねやけど、海がおるからどないしようかな、思って待ってたんよ。ずいぶん遅かったやん?罠でもあると思っとったんか?」
見透かしたように聞かれ私は何となく苦笑いをして誤魔化した。
地上に出ると、私は穴に射していた淡い光の原因を知った。
化電製薬がゴウゴウと音を立て、燃えていた。
炎を見つめながら、菊之ちゃんは、悲しそうに口を開いた。
「あたし、あんたらが部屋出て行った後、スピーカー越しに主覺に言われたんよ、あんたらと一緒に行けって、だから罠もはらんかった。」
「きっと……シールドがあるから大丈夫だよ!」
あまりにも、悲しそうな横顔に私はつい、励ましの言葉を送った。
だけど、シールドがあるから助かるだろうと思っていたのは本当だった。
するとエリックが
「無理だよ。」
短く言って、怪訝な顔をしている私を見ると、続けた。
「実は翔の声が少しだけ聞こえたんだ。「やばい、壊れた」って……。翔が持っていた解除ボタンを見てすぐに分った。発動装置が潰された時に解除ボタンも壊れたんだって……。解除と発動は別って言ってたけど、実は少しだけ繋がりがあって、そこを弄くれば解除も出来るんだ。だけどそれは機械の内部。見た目より装甲が厚くてね、僕達の武器じゃ装甲を壊せないんだ。圭子と幟呉なら、あるいは壊せたかも知れないけどね。だけど崩落でそれごと潰されたから解除ボタンにも影響して開かなくなったんだ。」
真っ直ぐに炎に包まれ、焼け落ちていく研究所を見つめながら、エリックは淡々と語った。その表情から心情を読み取ることは出来なかった。
だけど、次の瞬間顔が崩れた。
「開かなくなったんじゃなくて、解除されれば良かったんだけどね……。」
悲しそうに、眉をゆがめるエリック。
迷ったけど、疑問を投げかけた。
「どうして解除されれば良かったの?あのままの方が安全なんじゃないの?」
「確かに、シールドは火や瓦礫から守ってくれるかも知れない。だけど、煙からは逃れられない。あのシールドは床に完全についてはいないんだ。あの燃え方じゃ、その隙間から煙は確実に入って来ると思う。」
「それに」と付け加えて、俯き、一区切り置いてから言った。
「姉さんが入っていた液体、通称【ヴィアンカ】は燃えやすい。姉さんのカプセルを割った時に流れ出たヴィアンカは、シールドの外にまで流れ出ていた。……引火したら、爆発的に炎は強くなり、シールドを破る。」
それを聞いていた菊之ちゃんが悲痛な表情で呟いた。
「……そんな」