もしも私がーcasket in cremtion。

 ――圭子視点。

「あっ、そだそだ!圭子ちゃん!」

 ちょっと離れた所から私の名前が呼ばれた。

「何?靭」

 靭の所へ行くと、真剣な顔で
「気になってたことがあって……」と切り出された。

「……何?」

 私は、恐る恐る聞き返す。

「あの目玉焼き、美味しかった!?」

「……えぇ!?」

 意外な質問に思わず声が裏返った。
 靭は真剣な眼差しで私を見つめる。そして、私は焦った!

(どうしよう。あの目が清らか過ぎて不味かったなんてとてもじゃないけど言えない!でも、嘘つくのも……。)
私は目線を下に向けてうつむいた。

(本当、どうしよう!!)

 冷や汗が流れるのを感じると、少し上の方で声がした。

「靭くん、ちょっと良い?」

 現われたのは、長くてきれいな黒髪が印象的な女の人だった。
 竹中さんだ。竹中さんとは夕方のバイトで一緒に働くことが多かった。

「うん、良いよ。えっと……?」

「竹中恵よ。」

(恵様ぁ~!助かったぁ~!!)

 心の中で竹中さんに感謝すると

「圭子ちゃん、後で答え聞かせてね!」

(え!せっかく助かったと思ったのに!!)

 そんな私の思いを知らずに

「恵さんかぁ、何歳なの?」
と、ついて行ってしまった。そんな姿を見て

「皆よくやるよねぇ……。」

 思わず、関心半分、呆れ半分、そしてちょっとだけ諦めをふくんだ想いがもれる。
 するとすぐ後ろから声がとんできた。

「若いよなぁ。」

 振り返ると永璃だった。
 永璃は、タバコをくわえてそう呟く。

「いや、あんただって若いでしょ?」

「見た目はね、でもオジンなのヨ。」

「……冗談でしょ?」

「冗談だよ。」

そう言うと靭みたくニカッと笑った。

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