もしも私がーcasket in cremtion。

『――圭子へ。

こんな事になってすまない。
全ては、お父さんがいけないんだ。

お前は気づいているかどうか分からないが、私はお前の秘密を見てしまった。最初は血だらけになって、部屋で寝ているお前を見て驚いた。

そして、何故だかすぐに、分かったんだ。
母さん達を殺したのは、お前なのだと。
でも私はお前を憎む気にはなれなかった。

お前をどうにかして、守ろうと思った。
だから、血だらけになった服を処分し、同じものを買いに走り、お前に着せて、血をふき取った。
目を覚ましたお前は、何も覚えてないようだった。

そして、私は、お前が化物となる瞬間を目撃した。
私はお前を恐れ、逃げ出した。
それが、私がお前に切りつけられた日のことだ。

圭子、すまない。
本当なら、真っ先にお前を病院か警察かに連れて行くべきだったんだと思う。
そうすれば、お前は罪を重ねず、化け物になることも阻止出来たかも知れない。

お前が人を襲いたいはずがない、そんなお前に人を襲わせ続けてしまったのは私だ。
私がもっと早く病院にでも連れて行っていれば、今頃お前を元に戻す方法が分かっていたかもしれない。
もしもお前がまだ、真実に気づいていないなら、この手紙を読んで気づいて欲しい。

いや、気づいたからこそ、姿をくらませたのだろうか?
お前が人を襲いたいはずがないのだから……。

だが、くれぐれも自分を責め、死ぬなんて事を考えないで欲しい。
自分の運命と戦って欲しい。

不本意であっても、人を殺めたなら、生きて償って欲しい。
その人の人生も背負って歩いて行って欲しい。

そしてどうか誰よりも、幸せになって欲しい。
そしてどうか、お父さんのもとに帰ってきてくれ。

二人で一緒に、元に戻る方法を考えよう。』


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