もしも私がーcasket in cremtion。
 
 永璃の眉間のシワがさらに寄った時、永璃は私を見た。
 しかし、視線はすぐに外されてしまった。
 永璃はタバコを取り出して、くわえた。

「……あいつは逃亡生活に疲れきってた。嬢ちゃんと同じようにな。」

 ゆっくりと、ライターで火をつける。
 煙を「ふう」っと吐き出すと、続けた。

「俺達は訳を話してくれと懇願したが、話せない、殺してくれと泣かれてな。でもそんなの出来るわけがない、俺達はあいつを逃がそうって決めたんだ。」

「だけど」と、続けようとする永璃の顔が曇った。

「あいつは俺達の目の前で崖から飛び降りた。川辺にあいつの血の跡があったが、遺体は見つからなかった。多分、川に流されたんだろう。」

 悲しそうに、切なそうに、眉を寄せたあと、点けたばかりのタバコの火を消した。

「そう、だったんだ……。」

 言葉が見つからない。

「俺達は、どんな事があっても、あいつに生きていて欲しかったよ。でも嬢ちゃんは生きていてくれる、嬉しいぜ?」

 そう言ってにこりと笑って、覗き込むようにして、私の顔を見る。

「うん、ありがとう。」

(私を、思ってくれてる人が居たんだな。お父さんも、永璃達も……)

「でも、今なら何であいつが逃げたのか分かる気がする」

「え?」

 呟くような声を、私は聞き返した。
 でも、永璃がそれに答えてくれることはなかった。
 やさしく微笑って、

「組織の事とか教えようか?」

 話題を変えた。
 でも、突っ込んではいけない気がして、私は話しにのった。

「え?良いの?」

 無理に明るく言う。

「ああ、でもアイツらには内緒な!特に幟呉!」

 永璃も何となく無理をして明るく笑った気がした。
 私も笑って答える。

「うん、分かった。」
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