もしも私がーcasket in cremtion。

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「この前、立花圭子に会ったよ。」

暗闇の中で声がする。快活な少年の声だった。

「そうですか。」

今度は少し訛った女の声。
暗闇の中でうっすらと、妙なネックレスと、束ねた髪が見えた。

「ほのぼのとしてたよ。……気に入らないな。」

 少年の声は、不機嫌になり、吐き捨てるように言った。

「何も主覺が行かへんでも、良かったんちゃいますか?」

「アハハハッ!行ったんじゃないよ。偶然さ、偶然ね……会っちゃったんだよ。」

 少年の声に快活さが戻り、女は安心したようだった。

「……そうですか。主覺、電気つけた方が良いんちゃいます?」

「ああ!良いよ!つけないで!」

 女の提案に少年の声は焦ってとめた。そして、声音を落とす。

「……もうそろそろ、この子が孵化を始める頃だ。電気をつけたら美しくなくなるだろう?」

 暗闇の中で薄く青く光る大きいカプセルのようなモノが見える。中に何かいるようだが、暗闇にうまく紛れてよく見えない。そのカプセルのそばに、少年の声は近づいた。

 薄っすらと、声の主が見えた。
 華奢な体、低い背、声と同じく、まるで少年のようだ。

「そうですね。失礼をしました。では、あたしはこれで」

「ああ、ご苦労。」

少年の声がそう告げると、バサバサと、羽のはばたきの音が聞こえた。
上空から声がする。

「主覺!」

「ディーガスか、どうだった?」

 ディーガスは、地面へと着地した。

「それが……その、我々に従うつもりはないと。」

「へえ……アハハハハっ!」

 ディーガスが言い辛そうに言うと、少年の声は高らかに笑い声を上げた。

「主覺?」

「それ、誰が言った?幟呉か?」

「あっ、はい。」

「ふふっ、面白いな。何て度胸だ!」

 楽しそうに含んで笑ったあと、声を潜める。

「だけど、利口ではないな。まぁ、良いさ。立花圭子も含めて地獄を見ることになるだろうから……。」
 

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