もしも私がーcasket in cremtion。
いつしか日が暮れ、あたりは夜の闇にのまれていた。
タクシーが止まった場所で降り、ドアが閉まる音がして、そのままタクシーは去って行った。
私はというと目の前に油然と広がる世界をただ呆然と見つめていた。
私の目の前に広がるのは、山、山、山、山だった。
周りを見回してみても道路と山しかなかった。
それは油然と爆発的に森、樹が盛り上がっているようでいて、悠然とした空気が流れていた。
圧倒された気がした。
夜の山を見るのはこれが初めてだった。
「ここの、どこに研究所があるの?」
私が不安気に聞くと、幟呉がキッパリと答えた。
「真正面の山の中だ。」
私は愕然と項垂れた。
そして、やっぱりそうかと思った。
嫌な予感的中。
一気にヤル気がなえた気すらした。
そもそもヤル気なんて無かった気もしたけど……。
そんな私を見抜いてかそうでないかは定かではないが、永璃が私に注意を促した。
「嬢ちゃん、山の中へ入ったら警戒しときな。一歩でも入ったらもう奴らのテリトリーの中だ。レーザーとかカメラとか、色んなのあるぜ?」
「うそ。」
私はもう帰りたい気持ちになっていた。
タクシーのおいちゃん戻って来てくれないかなぁ? 何て現実逃避すらした。
(無理!絶対無理!)
いっそこいつら追いてっちゃおうかなぁ? 何て悪魔の考えがよぎった時、靭が
「でも僕らは裏道を通って行くから、心配しないで圭子ちゃん。」
と微笑んだ。
(……悪魔の考えは実行出来ないな。こいつらを置いて行くのは自分に負けることと一緒だから。)
そう思うとなんだか暖かい気持ちになった。