もしも私がーcasket in cremtion。
(本当に暗い。光なんて殆ど無いじゃない。)
「ねえ、ライターとか点けないの?」
「うん、明るいとばれちゃうかも知れないから。あんま喋んない方が良いよ。」
「分かった。」
そう小声で答えた。
それから何時間歩いたのか分からない。
暗いから時間の感覚があまり無いんだ。
初めは不安で、この暗闇が怖かった。
だけど、しばらくすると怖くなくなった。
目が少し慣れたのと、握っていた手から暖かさが伝わって来たから。
すると色んな事を考えるようになった。
(福崗さんは無事かな?)とか
(そもそもエリックって人に会って何話すんだろう?)とか
(私の変身ってどうして出来るんだろう?)とか。
そこから、私は初めて自分の変身について考えてみた。
私が変身する時ってどんな時だったっけ?
確か、半年前は眠くなった時で、それから後は私が追われてピンチになった時だよね。
って事は私が変身したいって思ったら、変身出来るのかな?
出来れば、もうあんな化物にはなりたくないけど……。
そんな事を考えていたら、靭が振り向いた。
「光だ。もうすぐ出口だよ。」
それから数十歩進んで、私達は光に包まれた。
「眩しい。」
頭がクラクラして、しばらくは目が開けられなかった。
やっと片目を開くとそこに見た物は、東京ドームぐらいの大きい建物と、眩いライトがアチコチに照らされている風景だった。
遠くにある門の表札には文字が書かれている。
その文字を目を細めて見てみると「科学(かがく)電工(でんこう)製薬(せいやく)株式会社・本部」と書かれていた。
私は一瞬ほうけた。
「か、か、化学電工製薬会社って……あの『科電(かでん)製薬』!? あの超大手!……何で!?」
私は少しパニックになりながら建物を指差した。
すると靭が数回軽く頷いて、同じ方向に指差しながら小声で答えた。
「ここだよ。」
「ハイ!?」
思わず聞き返すと、靭は平然と付け加えた。
「ここなんだよ。葵とエリックがいる場所。」