もしも私がーcasket in cremtion。

「ごめん、圭子、ちょっと我慢して。」

(どういうこと!?)

 そして今度は私達の正面に来てまたしても小声で。

「監視カメラがあるから、形だけでも捕まえておかなくちゃいけなくてね。でも、ちゃんと話した物は仕掛けといたから。」

 その時、勢いよくドアが開いた。
 その方向から、女の声が響く。

「エリック、よく捕まえたね!」

 声の方向を見ると、二つの影が見えた。
 しかし、姿は逆光でよく見えない。

(何か聞いた事のある声のような?)

 二人の足音が近づいてくる。
 そのたびに、だんだん二人の姿が見えてきた。
 一人は背が小さく、小さな手が見えた。

(子供……?)

 もう一人は束ねた髪に、ネックレス。それが見えた時、私は息を飲んで、ある人物を思い浮かべた。
 なぜって、その人物は近づいてくる女性と同じネックレスをしていたから。そう、逆十字に奇妙な形をしたネックレスを!
 すると、雲が切れて月の光がそこにいた者を照らした。

「数時間ぶりやね。圭子ちゃん。」

「菊之ちゃん?」

「そうや、菊之や。」

 軽く微笑みを浮かべながら辺りを一望した。
 すると満足そうに

「皆驚いとるねぇ」

 囁くと、菊之ちゃんは私の目を真っ直ぐ見ながら、微笑った。

「そやけどねぇ、圭子ちゃん?驚くのはまだ早いんとちゃう?」

 その言葉を合図にしたかのように、もう一人が一歩進んだ。
 月の光に照らされて、もう一人の姿が現われた。

「え?……海くん……?」

 その子は、まぎれもなく海くんの姿をしていた。
 死んだはずの、私が殺したはずの〝中村海〟くんの姿を。
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