もしも私がーcasket in cremtion。

数秒空中を漂った後、靭の近くへと降り立つ。
持っていた永璃の襟を放そうと、下を見た時だった。

永璃の首すじにアザが見えた。
一瞬だったから、よくわからかったけど、どこかで見覚えがあるような気がする。

 (……どこだったけ?)

もう少しで思い出しそうな時、靭が手を振りながら駆け寄って来た。
何だかとても興奮しているみたい。

「け~こちゃ~ん!凄いよ!やったよ!あんなにデカイ手の中に自ら入っていくなんて!」

しかも、と私がやった事を説明するように話す。

「払い除けるついでに手を抉り取って、二人を持ち上げちゃうなんて、力持ちだよね!しかもジャンプしただけであんなに高く飛ぶなんて凄すぎ!キミってばヒーローだね!ビバ☆ヒーロー♪」
 
興奮冷めやらぬと言うように、靭は両手を高く広げた。

「ビバって――」

言いかけると靭は指をチッチッチ!と横に振って

「それに、幟呉が名前で呼んだ。フルネームじゃなくて、名前で!すごいことだよ!」

「……そうだね」

(そうなのかな? 確かに名前で呼ばれたことは一度もないけど)

 心の中で疑問に思いながらも、私は続けた。

「それに、変身出来たし、コントロールも利く。邪魔じゃないでしょ?」

 私は誇るように胸を張る。

幟呉の方に向き直って勝ち誇った。

「ふん。どうだかな。」

 幟呉は、鼻で笑うように言ってそっぽむいた。
そんな幟呉に靭は

「照れてんの?名前でとっさに呼んじゃったから。」

ニヤニヤ笑いながら聞いていた。が、幟呉は侮蔑するように靭を睨んでは無視していた。
海くんをチラりと見ると、私が抉り取って穴が開いた手を、ただジイっと見ていた。

「永璃!大丈夫?」

エリックがそう叫びながら駆けつけて来た。

「おお。ちょっと油断した。」

永璃が座りながら答えると、エリックは即座に傷口をみて、少し安心したようにため息をついて

「打撲だと思う。骨は折れて無いみたいだね。日頃鍛えてるおかげかな?」

それを聞いた靭が、永璃に問いかけた。

「永璃、何で【血点殊(けってんしゅ)】使わなかったのさ?」

「使ってたよ。」

あっさりと答えて、呟く。

「けど、効かねぇんだよなぁ。」

「何やてぇ!?」

菊之ちゃんが縛られたまま大声を出して、驚愕した。
その訳を聞こうとした途端、海くんの手が飛んで来た!

一斉に散らばる。

すると何だかよく分からない、疑問を感じた。感覚的な〝?(ハテナ)〟だった。
それはすぐに判明した。海くんの表情だ。

(無表情なんだ!あんなケガ負わせたのに、痛がったり、苦しんだりする素振りが無いんだ。……どうして?)

そう思ったその時、突然、海くんに異変が起こった。

「う、う、うわ あぁあァあ!!」
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