もしも私がーcasket in cremtion。
「エリス様が殺られた後、すぐに、主覺と現場行ったんや。けど、エリス様は手遅れやった。でも海はまだ生きててん。やから、研究所に運ばれたんや、その途端、死んでもうたけどな。」
 
 どこか悲痛さを感じる。
 菊之ちゃんは、息を吐き出すようにして続けた。

「せやけど、後一歩で死者蘇生術が完成するからその実験に使える言うて、主覺が実験を行ったんや。結果、海は生き返った!ちゃんと意識も、感情もあってん!」

 一転、表情が明るくなる。
 でも次の瞬間、落胆したようにうつむいた。

「せやけど、01を打ったら、感情がのうなってしまったんや……。それ程、海の身体に01は大きすぎたんや。」
「助ける方法は無いの?」

 私が聞くと、菊之ちゃんは唇を噛み締めて、悔しそうな表情を作った。

「……無い。あるとしたら――」

「あるとしたら、何?」

 私が聞くと、菊之ちゃんは押し黙った。
 その様子を見て靭が淡々と、冷淡に言った。

「決まってんじゃん。殺すんでしょ?」

「そんな!」

 私が抗議しようとした時、エリックの呟きが聞こえた。

「彼は、苦しんでいる。それを、望んでいる。」

 私は一瞬目を丸くして、エリックを見た。
 多分「信じられない!何言ってるの!?」ていう顔になっていたと思う。

 だけど、海くんをチラッと見て、菊之ちゃんの今にも泣き出しそうな顔を見た時、何かが、心の中で弾けた気がした。

「で?誰が殺(ヤ)るの?」

 さっきから、何がそんなに気に入らないなのか、靭がまたもや不機嫌に言った。
 皆がそれぞれ顔を見渡す。私は俯きながら

「どれぐらい、海くんは苦しむんですか?」と聞いた。

「人によって、違うんや。一ヶ月苦しみ、もがいて死んだ奴もおるそうやし」

 その返答を聞いて、一瞬沈黙が漂った。
 私は、あのお兄さんの事を思い出した。

 化け物になって、ぐずぐずに崩れていったお兄さんを。川畑さんを……。

 私は拳を握り締めて

「私、私が……やるよ。」

「嬢ちゃん!?」

「私、前にも人、殺してるし。」

 そう自嘲的な笑みを少し浮かべると、決心を言葉にし、強く言い放った。

「止めてくる。」

「ちょぉ待て」

 永璃の制止を聞かずに、私は走り出した。
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