もしも私がーcasket in cremtion。

 人殺しをしたから、もう一人くらい何てこと無い、なんて事、あるはずがない。
 永璃達が人殺しをイヤがっていた事を知っていたからって訳でもない。

 さっき、チラッと見た時の海くんの表情、この目に海くんを見つめている今。彼は、彼の姿は……。
 私だって、他の解決方法を見つけたい……だけど、見て!

 海くんの今の姿を!!

 あの手で、爪で、体はボロボロ……皮膚は剥がれて、血はダラダラと流れる。 
 その身体に肌色は無かった、赤だった。

 筋肉の筋が見える。その肉にも爪が入って裂けて、骨が見える。
 その骨にも爪が入って、折れていた。

 離れた場所でも、走っていても、その姿がくっきりと見えるほど、海くんの体は変形していた。
 叫び声は悲鳴以外の何ものでもない。

 身体の中で何かが蠢く様にボコボコと血管が膨張している。
 筋肉が爆発的に作られ、腹筋や背骨が伸びて背が高くなっているけど、腹筋の中心はブチブチと音を立てて切れ、内臓が半分飛び出していた。

 顔だって、血管が浮きでて舌が限界までダランと伸びきっている。
 角が頭を突き破って、頭から血がダラダラと流れ出ていた。

 まだ十歳だよ!?

 そんな子供が、見るも堪えない姿になってるなんて……!
 あんな姿にさせられて、内臓が飛び出して、苦しくないはずがないじゃないか!

 ふと、お父さんの手紙が頭をよぎった。

『お前が、人を襲いたいはずがないのだから』

 その通りだ。

 私は人を殴りたくもないし、殺したくもない。
 だけど、それは、海くんだって同じなんじゃないの?

 もしも私が、海くんであったなら、私は止めて欲しいと願う。
 人を引き裂く自分を、見たくなんてないと思う。

 これはエゴだ。

 いいわけだ。

 解ってる。

 涙で、海くんの姿が歪んでいった。
 
 私は、右手に力いっぱい込めると、その右手を海くんの心臓めがけて繰り出した。
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