クリスマスに泣かないように
「この間リエちゃんに別れようって言われたときさ、もう嫌になったんだ」
「…私が?」
「バカ言え!」
ずるんと、寒さの証の鼻水をすする音がする。
ああ寒いなあ、とこんなことで実感した。
「俺、リエちゃん愛してんのに向こうにもいい顔してさ。
自分と皆にウソつきまくってるじゃん?
で、結局俺の一番好きな人を失って傷つけてさー。
ああもうそんなら、俺の正直になっちまえーって思って。
ツマに別れようって言ったんだ」
“愛してんのに”
“一番好きな人”
そんな節々の言葉が、妙に暖かく感じた。
バカだ、バカすぎる。
不倫に本気になって、どっちも傷ついて。
恋は盲目。
周りが本当に見えなくなる。
おかしい、間違ってるって誰でもわかるのに、止められなくなる。
で、こんなバカな結果になったんだ。