コトノハの園で
「――今持ってる? 英語の」
「うん」
「私で構わなければ教えるよ。その代わり、真っ直ぐ帰宅、ね?」
「はーいっ!」
店内は空いていたから、もう少し広い席に移動し、桜ちゃんとノートを広げる。
質問箇所を見てみると――、良かった。答えられそうだと一安心。
「うん、これはね――」
家庭教師なんてやったことない。せいぜい、弟に気が向いた時だけ、という具合だったから、私の説明は拙かったと思う。
なのに、桜ちゃんはとても良くできた中学三年生で、すぐに理解と喜びの声。こちらにまで自信を持たせてくれる性格は、素直に憧れてしまう。
――十五分後。なんとか、桜ちゃんの疑問は解消に至った。
「ね、ね、菜々ちゃん」
残ったココアを飲み干し、大きな目をくるくると動かせながら、桜ちゃんが訊いてきた。
「ん?」
「菜々ちゃんてさっ、森野さんを、好き?」
――……