コトノハの園で
途切れた言葉の行き先を辿るみたいに、ゆっくりと、不安定に、森野さんが私にピントを合わせる。
「――私は、森野さんが好きです」
この告白が、彼の中で予想されたものだったかどうか、私には量れない。
森野さんは俊敏な動きで立ち上がり、中庭から逃げようとした。
でも行かせない。
「ダメですっ!」
両手を限りに横へ伸ばす。
「……ダメ、です……」
私の小さな身体じゃ、進路の全てを塞ぐなんて無理だったけど、森野さんは逃げることをやめた。
ああ。きっと、容易なことじゃないんだ。彼にとっては。
そして、元のベンチに力なく座る。
「当然です。好きでもなけりゃあ、イブの日に、こんな寒空の下で佇んでません」
「……今日は、イブですか」
かわされてるの? そんなふうに、的を外したような相槌。
でも好きです。
本当に、大好きなんです。