コトノハの園で


「私は、隣のベンチから絶対に近づきません。――いつかの誰かみたいに、いきなり抱きついて迫りませんよ?」


ずいぶん前、もう今は退職した女性職員に、告白ついでに迫られているのを偶然見かけた。その人は、拒絶されたから辞めたのか、辞めるから迫ったのか……理由もいきさつも知らないけど、勝手に心が痛んだ。


けど、森野さんはもっと痛そうだった。


儚かった。


あの人と私は違う。そう思ってるのは、やっぱり私だけ?


「そっ、そんなことも知っていますか。情けないです」


怒ってもいいのにそうしない。そうやってバツが悪そうにしてくれているのには、どういう気持ちがあるの?


「……ストーカーとかでは、ないですよ……」


「はい」


そんな、赦すみたいな声は、何?


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