コトノハの園で
どうか、どうかこの動揺には気付かないままで。
「――ふぅん。なんで深町さんとやらがオレを知ってんだ? オレは知らん」
心情の流出は防げなかったらしい。
そして、情報以上のことに健人は気付く。
「淀みなく喋りゃあいいものを。透がドジ踏んだんだぞ。どんな子? 嬉しそうにしてるってことは、彼女? へぇ。ついにか」
「違っ! 深町さんはそんなんじゃっ!! それにっ……嬉しいって、なんだよ」
「そんな顔してた」
「っ!?」
平常心を取り戻すために紅茶へ伸ばした手は上手く動いてくれず、すぐ傍にあった水のグラスに当たってしまった。
「おおっ、大変だ。早く拭かないと」
慌ててテーブルを拭く僕の様子を見ながら、向かいの健人はほくそ笑んだまま手伝いもしない。
「……」
……、負けだ。
でもそれでいい。
違いがあるとすれば、それは打ち明けるタイミングの差だけ。結婚の話がなければ、もうとっくに言ってしまていただろう。
「……九月に、伊達さん待つのに場違いなカフェに入っただろう? 偶然、隣に座ってたらしい」
「ああ、だからか。で、透はなんで嬉しそうな顔……」
「困ってる顔だっ! イ……イブの日に、好きだって、言われた……」
深く呼吸し背もたれに身体を預けると、思いの外気が張り詰めていたことを知る。
「ロマンチック~。付き合えば?」
「そういうことじゃない」
「じゃあどんな?」
「……」