コトノハの園で


「でさ、透は何を悩んでるんだ?」


「なっ、何って……」


畳みかけられる。


「告白への対応? 好きってのが信用出来ない? 中庭へ行くかっての? あと――透はまだまだだ。それは選択権をくれたんじゃない。答えを出さなくていいなんて、それ、思いやりじゃねえよ。深町さんはさ、ただ怖かったんだ。自分本位。ま、それくらいの方が生々しくて真実味があるけど」


健人の言葉は、少しばかり深町さんを非難しているようにも感じられた。けれど、その声と表情は裏腹に優しくて。


「……何が、怖いんだよ」


「分からないならいいさ」


「教えてくれたっていいじゃないか」


「透が自分で気付いてあげるか、そのままが最良ってことだよ」


……まあ、おんぶに抱っこは情けないか。





仕事に戻らないといけない時間になり、ふたりで店を出た。


「まだ仕事山積みなのか?」


「いや。そうでもないよ」


「読書がてら待っててやる。呑みに行くぞ」


「気……遣ってくれてるの?」


「阿呆。オレと千花の祝いだ」


「、だね」


健人が図書館でゆっくりする姿――それはなんて貴重な光景だろう。


やがて現実となる可笑しな場面を想像しながら、来た道を戻った。


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