コトノハの園で
――
外に出ると、何故か健人と桜ちゃんが一緒にいた。
顔見知りになったのはついさっき、館内で僕を通じて。なのに、あの打ち解け方はなんだろう。
日はとうに暮れ、木枯らしの中だというのに、ふたりはコートの前を開けたままで笑っている。
「エーッ! 渋谷さんは美容師さんっ?」
「そうだよ。透の髪も切ってるんだ」
「じゃあ、桜も今度行こっかな」
「おおっ。嬉しいねー」
健人の言葉の感触は、いつもよりずいぶん優しい。職場仕様はこんな感じなのだろうか。
離れて眺めていた僕に、桜ちゃんが気付く。
「アッ、森野さんおっそーい。寒かったんだよっ!」
「森野さんおそーい」
「……健人、気持ち悪いから、それ。桜ちゃんも、もう遅いから帰らないと――そうだっ! クッキー、ありがとうござました。美味しかったよ。今度お礼しないとね」
「いいよぉ、勉強教えてくれたお礼だし。菜々ちゃん、ちゃんと渡してくれたみたいで良かった」
「あっ、ああ、ええ、うん」
返事の仕方が珍妙になってしまい笑われてしまった。