コトノハの園で


そのあとも雑談はしばらく続き、ようやくその場は解散となる。


「じゃあ桜は帰るよ~」


「はい。さようなら」


「またね、桜ちゃん」


「うんっ。渋谷さん、あったかいの、ありがとうございましたっ!」


「カイロ代わりになった?」


「とっても! バイバイッ!」


手を振って見送ったあと、僕にもそのカイロが渡される。温かい紅茶の缶だった。


その紅茶は……


「飲むんじゃないぞ? 店入るまで懐に入れておくんだからな」


……イブの日、深町さんから貰ったものと同じだった。


「――、ありがと」


なんで、今、この紅茶なのだろう。狙っているとしか思えない。


桜ちゃんの前では強がっていたのか、僕らだけになると、健人は心底寒そうに自分の身体を抱え込む。


「おい透っ。寒くないならやっぱり返せ。オレのはもう冷えた。大丈夫。中身は飲まないからさ。好きだったろ? このメーカーの」


「……」


知るはずがないのに、おかしな勘繰りをする自分が情けない。


けれど、あまりにも必殺技のようなタイミングで出されてしまったものだから。


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