コトノハの園で
「うーん……こんなこと言ったら、リハビリ後退になるかもと心配もありますけど……」
「っ!? なんでしょうっ?」
「女性って、やっぱりみんなずるいです。多かれ少なかれ内包いていて。でも、それが全てじゃない」
それは、私だってそうなんですよ。
「……中には、森野さんを傷つけるだけの人もいるでしょう。いるかもしれない。けど、そんなのは隕石に当たるくらいの確立だから、存在する、優しい誰かを否定してほしくはない。これから出会う人は、きっと森野さんだけを愛してくれて、大切に想ってくれます。――うんっ。きっと震えもなくなるっ。こういうことは声に出して結果を引き寄せるんです。言霊です。大丈夫です。だから、今だったらなんでも賭けちゃいます、私。もちろんそうなれるほうに」
明るい未来だけを断言した。
過去に関しては十分に悔いていて、私が言うことなんて何もなかった。
「――隕石か。それは僕には導き出せない見解で新鮮です」
森野さんの表情が晴れた気がして嬉しかった。
どうか、心のほうも――願うだけで量れないけど。
だって、相変わらず挙動は不審。僅かしか交わらない視線。
……もどかしくなってしまった。
私は自分にとんでもなく腹が立ったから、森野さんにこう言った。
「早く、森野さんが目を合わせても平気で、普通に一緒にいられる人が現れるといいですね」
その時の私の笑顔は、きっと人生の中で一番上手につくられてたと思う。
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