ショータロー☆コンプレックス
で、でも、オレはとりあえず、ここまで自分の力だけで生活して来たもんね!


その上で夢を追いかけていたんだから、奴とは全然状況が違うぞ。


「そして一人暮らしを余儀なくされた男は、とりあえず金を稼ごうと、地元のホストクラブに勤め出した。見かけはまぁまぁだし、甘ったれで飄々とした感じがむしろ女性の心を掴んだようで、そこそこの人気があったようだ」


オレが自分で自分の擁護を必死にしている間にも、辻谷は話を進めて行く。


「だけど、そうした環境が、男に無駄な自信をつけさせてしまったんだろうな。自分がその気になれば女性を思い通りに動かせる、と。そして3年前、男はその店を辞め、貯め込んだ金を持って意気揚々と東京に進出して来たって訳だ」


「そのまま地道に頑張っていれば良かったのに…。何で詐欺師になんか……」


色々と偏見もあるみたいだけど、オレはホストだって、立派な職業の一つだと思っている。


もちろん、プロとしてのプライドを持って、上手にお客様の心を癒して差し上げるというのが前提の話だけど。


そこで頑張って接客術を極めれば、ゆくゆくは自分が店を持つ側にだってなれたかもしれないのに。


「いや…。男も、最初から詐欺師になるつもりで上京した訳ではないだろうけどな。もっと大舞台で自分の力を試してみたくなったんだろう。実際に、上京してすぐに新宿にあるホストクラブに就職しているし」
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