ショータロー☆コンプレックス
「一応元ホストだからな。一流のクラブでは通用しなくても、男性にあまり免疫の無い、真面目で純真な女性を意のままに操るくらいなら朝飯前だったんだろう。なんやかんや同情を引くような事を言って、うまい具合に彼女のアパートに転がり込んだようだ」


「あ、という事はもしかして……」


「そう。俺達は、その女性が、奴の第一の被害者なんじゃないかと睨んでいる」


話はいよいよ山場を迎えたようだ。


オレは再び前のめりになり、辻谷の次の言葉を待った。


しかし……。


何故か彼はそこで唐突に口をつぐんでしまった。


さすがに会話しながらの運転に疲れて来たのかと思い、しばらく待ってみたけれど、一向に再開する気配がないので、こらえきれなくなり、オレは遠慮がちに問い掛けた。


「……で?」


「ん?」


「いや、『ん?』じゃなくて。それで、結果はどうだったんですか?」


運転席の肩口に両手をかけ、ジリジリしながら言葉を発する。


「やっぱ、その女性が第一の被害者だったんですか?」


「さぁな。それ以上は調べてないから分からない」


「へ!?」


「ひとまず調査はそこでストップしてるんだ。だから、今話した所までしか状況は把握していない」


「はぁ!?」


「だから最初に言っただろ?『もしかしたら結婚詐欺師【かも】しれない男』だって」


辻谷は肩をすくめて続ける。
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