ショータロー☆コンプレックス
車に乗り込んで来た時の、辻谷の切羽詰まった感は尋常ではなかった。


「さっきの話では男の現住所は把握しているという事だったし、そして調査を中断している今、男を尾行する必要性は全く無いハズですよね」


「もちろん。だけど、奴の車の助手席に女性が乗り込む所を見てしまったら、とてもじゃないけどスルーする気にはなれなかった」


「えっ。もしかして、さっき言ってた司書さんですか?」


辻谷達の予想に反して、いきなりの急接近を果たしたのだろうか。


「いや、そうじゃない。それはそれで焦るけど、奴の車に乗り込んだのは今まで捜査線上にはあがっていなかった女性で……」
「えー!他にもターゲットがいたって事ですか!?」


オレは思わず食い気味に問いかけてしまった。


「いや、それはないハズだ。数日間、交替で奴の行動を監視していたんだし、司書の存在に気付いて他の女性を見落としていたとは考えにくい」


「そうですよねぇ…。う~ん」


オレは思わず唸った。


「あ、辻谷さん達が調査を中断した後に知り合いになったんじゃないんですか?」


「でも、それはつい一昨日の事なんだぜ?そんな短期間のうちに別のターゲットを見つけて、ドライブするまでの関係にこぎ着けられるか?だからとりあえず、後を付けてみる事にしたんだ。奴の行き先に何かヒントがあるかもしれないからな」
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