ショータロー☆コンプレックス
Aさんの役には立ちたいけれど、今日のデートは前々からすっごくすっごく楽しみにしていたし、オレにとってはターニングポイントとなる重要なイベントなんだから。


それを放棄するようなマネは、申し訳ないけどオレにはできない。


「分かった。反対に言えば、6時までは大丈夫って事だな」


そこで辻谷はバックミラー越しにチラリとオレに視線を向けつつ続けた。


「その時間になったら追跡は諦める。悪かったな。俺のワガママで面倒な事に巻き込んじまって」


「え?あ、いや……」


ホントにもう、この男ってば、不意打ちでチョイチョイ良い奴になるんだから。


ミラーに写り込んだ、穏やかで真摯な瞳に思わずドキリとしちゃったじゃないか☆


俺様で強引でふてぶてしい奴かと思いきや、ふとした所で育ちの良さ(金持ちとかじゃなくて、家族に愛情たっぷりに、厳しく育てられたかどうかという事)が垣間見えて、このギャップはなかなか来るものがある。


そもそも、ビジュアルがムカつくくらいイケてるし。


身長173センチのオレより5センチ以上は確実に高く、はっきりくっきりとした二重瞼とシュッと通った鼻筋と、若干大きめだけれど肉厚ではない唇がくっついた、文句のつけようのない男前フェイス。


それを縁取る、ゆるくパーマネントウェーブのかかった長めの漆黒の頭髪は、思わず撫でたくなるくらいキラキラツヤツヤとしていた。
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