ショータロー☆コンプレックス
「あ、はいはい。聞いてますよ」


「その彼女とは、一体どこまでいったんだよ?」


何故か辻谷はテンション高く、矢継ぎ早に質問して来る。


まだ彼女ではないんだけど、数時間後にはもしかしたらそうなっているかもしれないし、それにいちいち細かい事情を説明するのも面倒なので、とりあえず簡潔に答えられる事柄のみを報告する事にした。


「えっと、そんなに遠くには行ってないですよ。お互い忙しいし。近場でご飯食べたり飲みに行ったりするくらいですね」


団長の気まぐれで決まる、舞台公演とその稽古日以外は、オレも瑠美ちゃんも鬼のようにバイトを入れまくっているから。


チケットの売り上げだけで食って行ける劇団なんて、ほんの一握り。


むしろウチなんか板に乗る度に赤字になる始末。


だから団員一同、それを補填する為にバイトに明け暮れる日々なのだ。


「は!?」


「え?」


すると辻谷はオレの返答に、何故か素っ頓狂な声を発した。


「マジかよ……」


思わずビクッとなりつつ聞き返したけど、それは耳に入っていないようで、さらに彼は何やらブツブツと呟いた。


「ホントに世の中にはいるんだな、こういう、ベタでお約束なボケボケの返しをする奴って……」


「え?え?」


「何でもねーよっ」
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