ショータロー☆コンプレックス
頬に両手を当てつつ、しどろもどろで言葉を発するオレに容赦なくそう言い放つと、辻谷は素早くシートベルトを外しにかかった。


「……どこ行くんですか?」


「決まってんだろ。一応あの二人に張り付くんだよ。ホテルに入る所と、出る所を写真に納めておかないと」


「え。常日頃からカメラを持ち歩いてるんですか?」


「ああ。その道の職人に作ってもらった、高性能のカメラをな」


言いながら、辻谷は左手を上げると、手首に巻き付けているダイバーが愛用しているようなゴツい造りの腕時計をオレの目の前にかざした。


「えっ」


なんと、あまりにも自然に身に付けていたそれが、まさか探偵の七つ道具だったとは!


「す、すごい!そんなアイテムがあるなんて、まるで007みたい!!」


ますます憧れが募ってしまうじゃないかっ!


「証拠写真を撮る場合、被写体に接近しなくちゃいけない場合も当然あるわけで、そのものズバリのカメラを取り出す訳にはいかないだろ?もちろんケータイを向けてパシャ、なんてのは論外だ」


感嘆の声を上げるオレに辻谷は得意気に解説した。


「だからウチの事務所ではペン型カメラってのを支給されるんだけど、何かダサくてさ。そんで俺専用に特別に作ってもらったワケ。俺が自分でデザインしたんだぜ。その代わり自腹だけど」


「へぇ~!」


「…と、まずはここで数枚」
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