ショータロー☆コンプレックス
いつまでもここでグズグズしている訳にはいかない。
しかし、運転席へと乗り込み、エンジンをかけようとした所でオレは『アレ?』と思った。
手に触れる筈のものがそこになかったから。
慌てて目視でも確認し、改めてその事を認識した。
車のキーがない……。
「あっ」
一瞬パニックに陥りかけたけれど、すぐにその可能性に思い当たる。
つーか、それ以外に考えられない。
オレは急いで車から降りると、建物へと駆け寄った。
自動扉を抜けると、そこは細くて薄暗い廊下兼エントランスになっていて、数メートル先の突き当たりの壁付近に、辻谷が佇んでいる姿が見て取れた。
直角に折れ曲がっているのでオレがいる位置からは死角になって見えないけれど、背の高い観葉植物の陰に隠れるようにして、廊下の先の様子を窺っている。
「あのっ」
声をかけつつ近寄って行くと、その声よりも扉の開く音に先に反応していたらしい辻谷は、素早くこちらに視線を向け、瞬間、ギョッとした表情になった。
「な、何だよお前っ。帰って良いって言っただろ!」
「かぎっ」
「え?」
「車の鍵。辻谷さん、持ってませんか!?」
お互いに、小声で怒鳴るという器用な発声法で会話を交わす。
「あ」
すると辻谷はハッとした表情になり、慌ててジャケットやズボンのポケットをまさぐり始めた。
しかし、運転席へと乗り込み、エンジンをかけようとした所でオレは『アレ?』と思った。
手に触れる筈のものがそこになかったから。
慌てて目視でも確認し、改めてその事を認識した。
車のキーがない……。
「あっ」
一瞬パニックに陥りかけたけれど、すぐにその可能性に思い当たる。
つーか、それ以外に考えられない。
オレは急いで車から降りると、建物へと駆け寄った。
自動扉を抜けると、そこは細くて薄暗い廊下兼エントランスになっていて、数メートル先の突き当たりの壁付近に、辻谷が佇んでいる姿が見て取れた。
直角に折れ曲がっているのでオレがいる位置からは死角になって見えないけれど、背の高い観葉植物の陰に隠れるようにして、廊下の先の様子を窺っている。
「あのっ」
声をかけつつ近寄って行くと、その声よりも扉の開く音に先に反応していたらしい辻谷は、素早くこちらに視線を向け、瞬間、ギョッとした表情になった。
「な、何だよお前っ。帰って良いって言っただろ!」
「かぎっ」
「え?」
「車の鍵。辻谷さん、持ってませんか!?」
お互いに、小声で怒鳴るという器用な発声法で会話を交わす。
「あ」
すると辻谷はハッとした表情になり、慌ててジャケットやズボンのポケットをまさぐり始めた。