ショータロー☆コンプレックス
この空間は、そういう役割を果たしていたのか。


そして観葉植物はただの飾りではなく、客のプライバシーが極力守れるように、配慮されて置かれていたものだったらしい。


それがある事により、誰かが居る気配くらいはもちろん分かるけれど、こちらから、そしておそらくあちらからも、その姿をダイレクトには見られないようになっている。


オレは思わず感心してしまった。


しかし、こういうとこに入ったのは初めてだけど、何となく雰囲気がカラオケボックスのフロント付近みたいで、そんなに怪しげな感じではないんだな。


一つ勉強になった。


なんて、そんな事はさておき。


「ところで、まだ中に入ってなかったんですね」


オレは頭を切り替えて、辻谷に問いかけた。


まぁ、そのおかげでコイツもここに足止めされていた訳だし、オレとしてはラッキーだったけど。


「ああ。お気に召す部屋がないみたいでさ、ずーっとグチグチ文句言ってやがったんだよ」


辻谷は心底不愉快そうに言葉を繋いだ。


「ホント、身分不相応に見栄っ張りというかプライドが高いというか。つくづくいけ好かない野郎だぜ」


そこで辻谷は今さらながらに思い出したように、右手を差し出して来た。


「あ。これ、車の鍵な。手間取らせて悪かったな」


「え?あ、はい」
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