ショータロー☆コンプレックス
でも、だからこそ、余計に不気味なのだ。


その内面と外面とのギャップが。


オレは男だし、辻谷に散々話を聞いた後だから危険信号をうまく感知する事ができたけれど、初対面の女性には中々それは難しいだろうし、親しくなる過程で何か不穏な空気を感じたとしても、そのドキドキや焦燥感を違う風に捉えてしまうかもしれない。


やっぱり、あの男を野放しにしておいてはいけない。


「今さら何言ってんだよ!」


そんな風に自分の世界に入り込んでいたオレは、突然荒々しく放たれた辻谷の言葉にハッと我に返った。


同時に体の緊張も解ける。


長い間そうしていたような錯覚を覚えたけれど、きっと時間にしたらほんの数秒の出来事だっただろう。


「お前だって、そのつもりでここまで来たんじゃないのか?」


慌てて背筋を伸ばしたオレの代わりに辻谷は素早く移動すると、腰を屈め、鍵を拾った。


そしてジャケットのポケットに入れつつ体を起こし、男に背中を向けて、オレの目の前に立ち塞がる。


「ひどいじゃないか。俺のこと、からかってただけなのか?」


「………は?」


意味が分からず、オレは間抜けな声を発しながら辻谷をガン見してしまった。


つーか、突然、何を言い出したの?コイツ。


ここまでの流れと、今のセリフが、全然噛み合ってないんですけど。
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