ショータロー☆コンプレックス
オレは漫画みたいに両手をブンブン振り回して地団駄を踏むと、キッと辻谷を睨み付けた。
「返せ!」
「…うるせーな。言われなくても返すよ」
眉間にシワを寄せながら、辻谷は右手でポケットをまさぐり車の鍵を取り出すと、こちらに差し出して来た。
「違う!」
「あぁ?」
「数分前の、オレの唇を返せ!」
瑠美ちゃんに捧げる筈だった、誰もまだ足を踏み入れていない、朝の雪原のように清らかなオレの唇を!
「お前なぁ……」
はぁ~、と深くため息を吐き、頭髪をガシガシとかきむしったあと、辻谷は続けた。
「そんな、ヤロー同士でキスしたからって大騒ぎするような事じゃねーだろ。別に減るもんじゃなし」
「へるもん!」
こういう場面で言い負かされる事の多いオレにしては珍しく、すぐさま反論の言葉が浮かんだ。
「唾液とか粘膜の細胞とか、DNA的なものが、確実にお前に持っていかれたもん!」
「なんだその屁理屈。ガキかよ」
すこぶるバカにしたような半笑いの表情で、オレの言葉をバッサリと切り捨てた辻谷に、オレはさらに怒りが湧いて来た。
何でそんな居丈高な態度を取られなくちゃいけないワケ!?
コイツは全然分かってない!
こんな汚れた唇では、今日はもう瑠美ちゃんにキスなんかできない。
彼女と辻谷を、間接的にキスさせるようなもんだ。
そんなおぞましい真似ができるかっ。
「返せ!」
「…うるせーな。言われなくても返すよ」
眉間にシワを寄せながら、辻谷は右手でポケットをまさぐり車の鍵を取り出すと、こちらに差し出して来た。
「違う!」
「あぁ?」
「数分前の、オレの唇を返せ!」
瑠美ちゃんに捧げる筈だった、誰もまだ足を踏み入れていない、朝の雪原のように清らかなオレの唇を!
「お前なぁ……」
はぁ~、と深くため息を吐き、頭髪をガシガシとかきむしったあと、辻谷は続けた。
「そんな、ヤロー同士でキスしたからって大騒ぎするような事じゃねーだろ。別に減るもんじゃなし」
「へるもん!」
こういう場面で言い負かされる事の多いオレにしては珍しく、すぐさま反論の言葉が浮かんだ。
「唾液とか粘膜の細胞とか、DNA的なものが、確実にお前に持っていかれたもん!」
「なんだその屁理屈。ガキかよ」
すこぶるバカにしたような半笑いの表情で、オレの言葉をバッサリと切り捨てた辻谷に、オレはさらに怒りが湧いて来た。
何でそんな居丈高な態度を取られなくちゃいけないワケ!?
コイツは全然分かってない!
こんな汚れた唇では、今日はもう瑠美ちゃんにキスなんかできない。
彼女と辻谷を、間接的にキスさせるようなもんだ。
そんなおぞましい真似ができるかっ。