僕と、君と、鉄屑と。
「関口が、麗子を嗅ぎつけた」
僕は、焦っていた。直輝を守るために、僕は必死だった。
「関口は君と僕の関係を疑ってる。麗子を丸め込んで、偽装結婚だったことを言わせるつもりだ。このままだと、麗子は関口に巻き込まれる。そんなことになったら、もう終わりだ!」
僕は必至に、彼に訴えた。このままだと、今までの努力が水の泡になってしまう! でも、彼は俯いて、ため息をついた。
「……もう、いいじゃないか」
「何言ってるんだ! やっとここまで来たんだよ?」
「祐輔……もう、俺は……」
「直輝、僕に考えがある」

 僕はね、君の夢を叶えたいんだ。君の夢を叶えるためなら、どんなことだってする。君の大切な、神様とやらに背くことだって、厭わない。僕は、君のために、悪魔になる。
 だから、僕は、悪魔のシナリオを、直輝に渡した。

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