今宵、月が愛でる物語
「……来栖。」




「……………っ!?」



………時間が、止まったみたいだった。



「ここにいたのか。探したよ。」



背中にかかる声が、ウソみたいで。



「………………。」



返事ができなかった。



諦めて押し込めようとした気持ちが次から次へと溢れてきて、溺れそうになった。



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