今宵、月が愛でる物語
「………葵?」

静かに私を呼ぶ声が沁みるように耳に届いて、俯いていた顔を上げる。

千景さんは一瞬…潤んだ瞳に驚いたようだったけれど、すぐに目尻を下げて微笑んだ。

「………お前が欲しいよ、葵。

身体だけじゃなく心も。

…………好きだよ。」

額をそっと合わせて囁かれた言葉に、堪えきれず涙が落ちる。

「…千景さん、私も好き。

身体だけじゃなく心も、あなたのものにしてください。」

大好きな指先が頬を伝う雫を掬い取る。


この指先が本当に自分のものになったと思うと、

嬉しくて嬉しくて、心が震えてしまいそうだった。


「これからはちゃんと、デートしような。」


そう言った千景さんは、ちょっと恥ずかしそうだった。


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