今宵、月が愛でる物語
心の赴くまま詰め寄り、身体が自然に彼女の細い身体を抱きしめる。
窓の外から見える月に覗かれているような気がしたけれどそんなのどうでもいい。
……なんだか他にも視線を感じるような気もするが、それもどうでもよかった。
もう止まらなかった。
香水ではない、ほのかに甘いような気がする彼女の香りが俺の鼻を擽る。
……ヤバイ。これは…マジでヤバイ。
本能が疼くのを感じる。
一気に全て奪ってしまいたくなる衝動を理性で必死で抑え込み、心を落ち着かせてできるだけ優しい声で伝える。
「………お見合いなんかさせないよ。」
俺の言葉に驚いた橘はその小さな肩が一瞬ピクリと動く。
まさか俺がそんなこと知ってるとは思わなかったんだろう。
「…橘は鈍感すぎる。」
「…へ?鈍感?誰が?」
………ほら、これだもんな。
「だから、橘、お前。
商品部のヤツらだってみんな気づいてる。俺が………橘を好きだって。」
そう、知らないのはお前だけだ。
「お前今日、三沢さんにお見合いしなきゃってグチったんだろ?
それ聞いて、三沢さんが俺に教えてくれたんだ。
………そんなの、俺許さない。」
そう、お前は絶対他のやつになんかやらない。
想いを込めて、抱きしめる腕にまた力を込める。
「ずっとお前を見てたよ。一生懸命仕事してる橘も、俺にからかわれてちょっと怒ったり困ったりしてる橘も、笑うとすっごい可愛い表情になる橘も、全部好き。
……他のやつに取られないようにずっと見張ってきたのに、ここに来てお見合いで持ってかれるなんて我慢できない。」
「持ってかれるって………。
ちょっと待ってください。お見合い写真送るって母から電話来ましたけど、するなんて言ってませんよ?
三沢さんにだって、そういう電話がきて嫌だってグチっただけでするとは一言も…」
………は?話が違う。
だってあの人は…………あっ、
そうか。あのにやけ顔はそういうことか。
……策士だな。
「…なんでもいいや。もう、我慢しない。
お前が好きだよ。ずっと…ずっと好きだった。
ずっと、欲しかった。
お前の気持ち、聞かせてくれよ。」
そうだ。ずっとお前の口から聞きたかった。
俺のことを好きだと、言って欲しかった。
窓の外から見える月に覗かれているような気がしたけれどそんなのどうでもいい。
……なんだか他にも視線を感じるような気もするが、それもどうでもよかった。
もう止まらなかった。
香水ではない、ほのかに甘いような気がする彼女の香りが俺の鼻を擽る。
……ヤバイ。これは…マジでヤバイ。
本能が疼くのを感じる。
一気に全て奪ってしまいたくなる衝動を理性で必死で抑え込み、心を落ち着かせてできるだけ優しい声で伝える。
「………お見合いなんかさせないよ。」
俺の言葉に驚いた橘はその小さな肩が一瞬ピクリと動く。
まさか俺がそんなこと知ってるとは思わなかったんだろう。
「…橘は鈍感すぎる。」
「…へ?鈍感?誰が?」
………ほら、これだもんな。
「だから、橘、お前。
商品部のヤツらだってみんな気づいてる。俺が………橘を好きだって。」
そう、知らないのはお前だけだ。
「お前今日、三沢さんにお見合いしなきゃってグチったんだろ?
それ聞いて、三沢さんが俺に教えてくれたんだ。
………そんなの、俺許さない。」
そう、お前は絶対他のやつになんかやらない。
想いを込めて、抱きしめる腕にまた力を込める。
「ずっとお前を見てたよ。一生懸命仕事してる橘も、俺にからかわれてちょっと怒ったり困ったりしてる橘も、笑うとすっごい可愛い表情になる橘も、全部好き。
……他のやつに取られないようにずっと見張ってきたのに、ここに来てお見合いで持ってかれるなんて我慢できない。」
「持ってかれるって………。
ちょっと待ってください。お見合い写真送るって母から電話来ましたけど、するなんて言ってませんよ?
三沢さんにだって、そういう電話がきて嫌だってグチっただけでするとは一言も…」
………は?話が違う。
だってあの人は…………あっ、
そうか。あのにやけ顔はそういうことか。
……策士だな。
「…なんでもいいや。もう、我慢しない。
お前が好きだよ。ずっと…ずっと好きだった。
ずっと、欲しかった。
お前の気持ち、聞かせてくれよ。」
そうだ。ずっとお前の口から聞きたかった。
俺のことを好きだと、言って欲しかった。