今宵、月が愛でる物語
菫はいつもこうだ。

その花言葉『無邪気な恋心』のそのままに、仕草や表情をころころと変え僕を思うがまま振り回す。


ふぅ。


そう溜息をひとつ零した僕は、足元に積もるサラサラの雪をブーツでさっくりと踏みしめながらゆっくりと菫に歩み寄った。



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