この恋を叶えてはいけない
 
確かに大変だった……。


経済面ではめっきり母を頼っていたから
自分ですべてを稼ぐということ。


一人きりの孤独との戦い。


毎日めげそうだったし、
母を想って泣いた日もあった。



だけどそれ以上に辛かったのは……





駿を諦めたことだ。






「あたし……悪い子ですから」

「え?」

「いえ……なんでもないです」



突然のあたしの言葉に、戸村さんは首をかしげていて
すぐに首を振ると、また明るい笑顔を作った。



今のあたしは
泣いている暇なんかない。
 
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