この恋を叶えてはいけない
「唯ちゃん」
「はい?」
ランチからの帰り、二人並んで職場へと戻っていた。
そのあとは、戸村さんの持ち前の明るさで楽しいランチになったけど
急にまた、真剣な声で話かけられた。
「辛くなったら、俺のこと、頼ってええよ」
「え……?」
その言葉を言った戸村さんが、あまりにも真剣だったから
一瞬ドキッとしてしまった。
こんなのただの社交辞令。
天涯孤独の身となってしまったあたしへの同情。
あたしはニコリと微笑むと、
「ありがとうございます」
と返した。
でもお願いだから
あたしに優しくしないで……。