この恋を叶えてはいけない
「けど、怖いんやろ?」
「……」
戸村さんは、決してあたしをバカにしたり、責めることはしなくて、
ただ優しく慰めてくれた。
やばいなぁ……。
こんなふうに、男の人に優しくされたのなんて久しぶりだ……。
駿と別れてから
男の人を無意識に避けていた自分。
性格もだいぶさめてきてたし、可愛さとか全然アピールもしてこなかった。
お母さんを想って、普通の結婚をするために駿とお別れしたはずなのに
自分の性格を捻じ曲げてしまうなんて、無意味すぎる……。
「さて、今日はどないしようかー」
「え?」
部屋に上がってから、首をかしげる戸村さん。
それを聞いてから、あたしも確かに考えた。
怖くて来てもらったのはいいけど
いったい、あたしはどうしてもらうつもりだったんだろう……。