この恋を叶えてはいけない
「今日は泊まっていこうか?」
「え!?」
急な提案に、思わず声を上げてしまう。
戸村さんはキンとしたあたしの声に、片目をつぶっていて……。
「べつに変な意味じゃあらへん。
一人になるのが怖いんやろ?」
「そう、ですけど……」
確かに一人になるのは怖い。
だからと言って、付き合ってもない人を家に泊めるなんて……。
「心配せんでも、襲ったりせぇへんから。
そんなことしたら、俺がストーカーと一緒になるやん」
「そ、うですね……」
笑って言う戸村さんに、あたしもつられて笑った。
正直、今ここでYESと言って、戸村さんに迫られたとしても、きっとあたしにも非があると言われるだろう。
だけど……
戸村さんよりも、得体のしれないストーカーのほうがもっと怖い。
「じゃあ……
お願い、します……」
あたしは結局、戸村さんに泊まってもらうことにした。