この恋を叶えてはいけない
 
あー、ほんと何やってんだろう……。


一人、シャワーを浴びながら、決断してしまったことに少し後悔していた。


いくら怖いからといって
そこまで仲良くなっていない戸村さんを家に泊めるなんて……。

しかも相手からは告白みたいなこともされている。

これじゃあ、あたしが誘っているようなものなのかな……。


シャワーを顔にあて、首をぶんぶんと振った。



「……」



だけど……

もしかしたらこれは、いい機会なのかもしれない。


あたしが前に踏み出すための……。

 

あたしは恋をしなくちゃいけない。

普通の……
祝福される恋を……。


そしてゆくゆくは結婚して
子どもをもって……


お母さんの眠るお墓に、会いに行かなくちゃ……。
 


「……」



シャワーの蛇口を、きゅっと閉めた。
 
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